空き家の管理費用・維持費の内訳と相場、賢く節約する方法5選を徹底解説

「親から実家を相続したけれど、遠方に住んでいて管理が大変…」「誰も住んでいないのに、税金や保険料だけがかさんでいく…」近年、社会問題化している空き家。あなたも、使っていない空き家の維持費に頭を悩ませてはいませんか?実は、空き家を放置すると固定資産税が最大6倍に跳ね上がったり、最悪の場合、近隣トラブルから損害賠償問題に発展したりするリスクがあることをご存知でしょうか。しかし、適切に管理しようにも、一体「年間でいくらかかるのか」が分からなければ、対策の立てようがありません。そこでこの記事では、空き家問題に詳しい専門家の視点から「空き家の管理費用・維持費の内訳と相場」、そして「賢く節約する方法5選」を徹底的に解説します。この記事を最後まで読めば、あなたの空き家に潜む金銭的リスクが明確になり、ご自身の状況に合った最も賢い管理方法を見つけることができます。

まず、皆さんが最も知りたいであろう結論からお伝えします。空き家の管理・維持にかかる費用は、物件の状況や立地によって大きく変動しますが、一般的な木造戸建ての場合、年間でおおよそ10万円~25万円程度が目安となります。もし大規模な修繕が必要になれば、この金額はさらに跳ね上がります。

「何も使っていないのに、そんなにかかるの?」と思われるかもしれません。では、その具体的な内訳はどのようになっているのでしょうか。 ここでは、必ず発生する「基本費用」と、状況によって変動する「追加費用」に分けて、ひとつずつ詳しく見ていきましょう

必ず発生する4つの基本費用の1つ目が「固定資産税・都市計画税」です。空き家の維持費の中で、最も大きな割合を占めるのが税金で、毎年1月1日時点の所有者に対して課税されます。
※固定資産税: 課税標準額 × 1.4%(標準税率)
※都市計画税: 課税標準額 × 0.3%(上限税率) ※市街化区域内のみ

ここで重要なのが「住宅用地の特例」です。土地の上に居住用の建物が建っている場合、土地の固定資産税が大幅に減額されます(200㎡以下の部分は1/6、200㎡超の部分は1/3)。

しかし、後述する「特定空き家」に指定され、自治体から「勧告」を受けると、この特例が適用されなくなり、土地の固定資産税が最大6倍になってしまうのです。 これが「空き家を放置すると税金が上がる」と言われる最大の理由です

【費用の目安】年間5万円~15万円(物件の評価額による)

4つの基本費用の2つ目が「火災保険・地震保険料」です。実は「誰も住んでいないから火事は起きない」と考えるのは非常に危険で、空き家は放火のターゲットにされやすく、また漏電や自然災害による火災リスクも常に存在します。もし火災で近隣の住宅に延焼させてしまった場合、重大な過失がなければ法律上の賠償責任は負わない(失火責任法)とされていますが、道義的責任やその後のご近所付き合いを考えれば、保険への加入は所有者の責務と言えるでしょう。

注意点として、一般的な住宅用の火災保険は「人が居住していること」が条件の場合が多く、空き家専用の火災保険に加入し直す必要があるケースがほとんどです。保険料は割高になる傾向があります。

【費用の目安】年間2~5万円(建物の構造や補償内容による)

4つの基本費用の3つ目が「水道・光熱費の基本料金」です。電気やガスは解約しても問題ありませんが、水道は「通水」を維持するために契約を残しておくのが一般的です。
なぜなら、長期間水道管に水を流さないと、管が錆びて腐食し、悪臭の原因になったり、いざ使おうとした時に破裂したりするリスクがあるからです。

定期的に管理で訪れた際に、1~2分ほど蛇口から水を流す「通水作業」を行うことで、こうしたトラブルを防ぐことができます。 そのためにも、使用量がゼロでも基本料金は支払い続ける必要があります。

年間2万円前後(水道の基本料金のみ)

4つの基本費用の最後が「庭木の剪定・草刈り費用」です。庭付きの戸建ての場合、雑草や庭木の手入れは避けて通れません。放置すれば景観が悪化するだけでなく、害虫が発生したり、伸びた枝葉が隣家の敷地に越境してトラブルになったりする原因になります。

自分で定期的に手入れができれば費用はかかりませんが、遠方に住んでいる場合は、シルバー人材センターや専門業者に依頼するのが現実的です。シルバー人材センターは作業費用が比較的安価というメリットがありますが、専門性は高くありません。

一方、造園業者のような専門家は費用は高めですが、仕上がりが綺麗で対応も早いというメリットがあります。

【費用の目安】年間2万円~5万円(年2回依頼した場合)

上記の基本費用に加え、個別の事情で以下のような費用が発生する可能性があります。

※修繕・リフォーム費用
雨漏り、外壁のひび割れ、給湯器の故障など、経年劣化による修繕は突発的に発生します。 放置すれば建物の寿命を縮めるため、早めの対応が求められますが、数十万~数百万円単位の大きな出費になることもあります

* 住民税(均等割)
自治体によりますが、家屋敷課税として、その市区町村に住所がなくても家屋を所有している場合に住民税の均等割(年間5,000円程度)が課されることがあります。

* 交通費
遠方に空き家があり、自分で管理するために定期的に通う場合の往復交通費も、積み重なれば大きな負担になります。

空き家の管理方法は、大きく分けて「自分で行う」か「専門業者に委託する」かの2択です。
ここでは、それぞれの費用感とメリット・デメリットを比較し、どちらがあなたにとって最適かを見ていきましょう。

自分で空き家管理をする場合、交通費・道具代といった必要経費以外の管理費用を抑えられるのが最大の魅力です。しかし、その分手間と時間がかかり、最低でも月1回は現地を訪れ、以下の作業を行うのが理想です。

全室の窓や扉を開けての換気(60分以上)
水道の通水(各蛇口1~2分)
雨漏りの跡やカビのチェック
郵便受けの整理
庭の草むしりや簡単な清掃
建物外部の目視点検(外壁のひび、屋根のズレなど)

空き家の近所にお住まいで、時間に余裕がある方なら可能かもしれませんが、遠方の方や多忙な方にとっては、これを継続するのは大きな負担となるでしょう。

近年、需要が拡大しているのが「空き家管理代行サービス」です。月額5,000円~1万円程度の料金で、所有者に代わって基本的な管理業務を行ってくれます。

【基本的なサービス内容の例】
月1回の巡回
外部からの目視点検(外壁、屋根、窓など)
郵便受けの整理・転送
室内換気、通水
簡易清掃
管理状況の写真付き報告書の提出

【オプションサービスの例】
庭木の剪定、草刈り
ハウスクリーニング
災害後の臨時巡回
リフォーム業者の手配

時間と手間から解放され、定期的な報告書で遠方の空き家の状況を把握できるのは非常に大きなメリットです。ただし、年間6万円~12万円(月額5千円~1万円)の費用がかかること、業者によってサービスの質に差があることなど、デメリットもあるので覚えておきましょう。

業者選びに失敗しないために、契約前には以下の3点を必ず確認しましょう。

1. 実績と許認可
宅建業の免許や、管理業務に関する実績が豊富かを確認します。
地元の不動産会社が兼業しているケースは、地域の事情に詳しく安心感があります。

2. 料金体系とサービス内容の明確さ
基本料金でどこまで対応してくれるのか、オプション料金はいくらかなど、書面で明確に提示してくれる業者を選びましょう。
「〇〇一式」のような曖昧な見積もりを出す業者は要注意です。

3. 報告書のサンプル
管理状況を伝える報告書は、業者と所有者をつなぐ命綱です。 写真が豊富で、チェック項目が具体的か、どのような形式で送られてくるのか、事前にサンプルを見せてもらいましょう

「多少費用がかかっても、誰も見ていないなら放置してしまおう」
…そんな風に考えてしまう気持ちも分かります。 しかし、その判断は将来、何倍にもなったコストとリスクとしてあなたに降りかかってきます。

2015年に施行された「空き家対策特別措置法」により、著しく状態が悪い空き家は「特定空き家」に指定される可能性があります。

【特定空き家に指定される主な基準】
そのまま放置すれば倒壊等、著しく保安上危険となるおそれのある状態
著しく衛生上有害となるおそれのある状態(ゴミの放置、害虫の発生など)
適切な管理が行われていないことにより、著しく景観を損なっている状態
その他、周辺の生活環境の保全を図るために放置することが不適切である状態

自治体による「助言・指導」に従わず、改善を求める「勧告」が出されると、固定資産税の「住宅用地の特例」が解除され、土地の税金が最大6倍になってしまいます。

さらに、2023年の法改正で、特定空き家の前段階である「管理不全空き家」という区分が新設されました。
こちらも「勧告」を受けると税金の特例が解除されます。
つまり、国として空き家への対策を年々強化しているのです。

管理されていない空き家は、災害や経年劣化によって、凶器と化すことがあります。

台風で屋根瓦が飛散し、隣家の車や窓ガラスを破損させた
老朽化したブロック塀が倒壊し、通行人が怪我をした
害獣が住み着き、近隣に悪臭や衛生被害を及ぼした

このような場合、民法第717条の「土地工作物責任」に基づき、所有者が被害者に対して損害賠償責任を負うことになります。
火災保険でカバーできないケースも多く、数百万~数千万円もの賠償金を請求される可能性もゼロではありません。

適切に管理されていない家は、驚くべきスピードで劣化が進みます。
いざ売却しようと思った時に、雨漏りやシロアリ被害で建物の価値はゼロになっていたというケースも決して少なくありません。

さらに、「古家付き土地」として売る場合でも、買い手側は解体費用(木造で1坪あたり3~5万円が目安)を見越して価格交渉をしてきます。
管理状態が悪ければ、その分解体費用も高騰し、結果的に売却価格が大幅に下がってしまうのです。
買い手が見つからず、ただ維持費だけを払い続ける「負動産」になってしまうケースも少なくありません。

ここまで空き家にかかる費用とリスクについて解説してきましたが、「では、どうすれば費用を抑えられるのか?」という疑問にお答えします。
すぐに実践できる5つの節約術をご紹介します。

まず着手しやすいのが火災保険の見直しです。
前述の通り、空き家は専用の保険が必要になることが多いですが、その補償内容は吟味する価値があります。

まず、誰も住んでいないのであれば、高額な家財は無いはずですし、必要もありません。
家財補償を外すだけで保険料は安くなります。

また、 補償内容が同じでも、保険会社によって保険料は異なります。 複数の保険会社や代理店、ネット保険で見積もりを取り、比較検討しましょう。

空き家問題は国や自治体にとっても深刻な課題であるため、対策費用を補助する制度が数多く用意されています。

解体費用の補助金
老朽化した危険な空き家を解体する場合、費用の1/2~1/5程度(上限50~100万円など)を補助してくれる制度

リフォーム費用の補助金
耐震改修やバリアフリー化など、空き家を再生して活用する場合の改修費用を補助してくれる制度

これらの制度は、お住まいの自治体によって内容や条件、予算が大きく異なります。
まずは「〇〇市(お住まいの自治体名) 空き家 補助金」と検索し、公式ホームページを確認することから始めましょう。

空き家バンクとは、自治体が主体となって、空き家を「売りたい・貸したい」所有者と、「買いたい・借りたい」利用者をマッチングする制度です。

不動産会社への仲介手数料が不要な場合が多く、Uターン・Iターン希望者や、地域で事業を始めたい人など、活用意欲の高いユーザーが見つかる可能性があります。登録することで、維持費のかかるだけの空き家が、誰かに活用してもらえる資産に変わるかもしれません。

室内に家財道具が多く残っていると、湿気がこもりやすくカビや害虫の原因になります。
また、放火された際の延焼リスクも高まります。

不用品回収業者や遺品整理業者に依頼して家の中を空っぽにすることで、管理がしやすくなるだけでなく、火災リスクも低減できます。自治体によっては、空き家の家財道具処分費用を補助してくれる制度もありますので、併せて調べてみましょう。

ここまで紹介した方法は、あくまで「維持費をいかに抑えるか」という対症療法です。 もし将来的にご自身やご家族がその家に住む予定がないのであれば、最も根本的な解決策は「手放す」または「収益化する」ことです。

もし売却できれば、まとまった現金が手に入り、以降の管理費用や責任から完全に解放されます。
そして、賃貸に出すことができれば、リフォーム費用などの初期投資はかかりますが、継続的な家賃収入を得ることができます

「うちの物件に価値なんて…」と思い込まず、まずは複数の不動産会社に査定を依頼し、客観的な資産価値を把握することをおすすめします。不動産一括査定サイトなどを利用すれば、一度の入力で複数の会社に依頼でき便利です。

この記事では、空き家の管理・維持にかかる費用と、その節約方法について詳しく解説しました。
最後に、重要なポイントをもう一度おさらいします。

空き家の維持費は年間10~25万円が目安。税金と保険料が大きな割合を占める
管理方法は「自分」か「業者」か。費用と手間を天秤にかけて判断する
放置は絶対NG!税金6倍、損害賠償、資産価値ゼロのリスクがある
節約するには「保険見直し」「補助金活用」「売却・賃貸の検討」が有効

空き家は、所有しているだけでお金と手間がかかる、まさに「負の資産」になりかねない存在です。
しかし、そのリスクを正しく理解し適切なアクションを起こせば、負担を軽減し、価値ある資産として蘇らせることも可能です。

この記事を読んで「何から手をつければいいか分からない」と感じた方は、まずご自身の空き家がある自治体のホームページで「空き家」と検索し、どのような補助金制度や相談窓口があるかを確認することから始めてみると良いでしょう。

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