近年、実家を相続したものの、自分では住まないために空き家になってしまうケースが増えています。そんなとき、多くの人が「とりあえず親族に見回りを頼もう」「簡単な管理くらいなら素人でも問題ない」と考えるかもしれません。たしかに、家族や親しい人に様子を見てもらえれば安心できるように思えます。しかし、実際には問題ないと思っていた親族の管理に問題が生じてしまったり、場合によっては親族間でトラブルに生じるなんてこともあります。とは言っても、「お金を払ってまでプロの業者に管理を依頼するメリットが分からない」と、依頼をためらっている方も多いかと思います。そこで今回は、空き家管理で発生しやすい親族トラブルと、プロに依頼する際のメリットについて詳しくご紹介をしていきます。

空き家の管理を親族に依頼するリスク

親族に空き家の見回りや管理を頼めば、費用をかけずに対応できるというメリットがあるように思えます。しかし、実際には「思ったより手間がかかる」「頻繁に行けない」といった問題が発生し、気づかないうちに管理が不十分になるケースが少なくありません。また、万が一トラブルが起きた場合に、責任の所在が曖昧になり、親族同士で揉めてしまうこともあります。もちろん親族に依頼することがいけないことではありませんが、依頼することを検討している方は、そのリスクについても知っておく必要があるのです。そこでここでは、親族に管理を頼むことで発生しやすいリスクについて詳しく見ていきましょう。

定期的な見回りが負担になり、管理が行き届かなくなる

最初は快く引き受けてくれた親族でも、時間が経つにつれて管理が負担に感じるようになることがあります。特に遠方に住んでいる場合や、仕事や家庭の事情で忙しい親族の場合、定期的な見回りが次第におろそかになってしまうケースが少なくありません。また、空き家の管理は天候や季節の影響を受けやすく、台風や大雨の後に見回る必要がある場合などは、スケジュールの調整が難しくなることもあります。最初は「月に一度は様子を見に行く」と決めていても、徐々に頻度が減り、結果的に数ヶ月放置されてしまうことも珍しくありません。その間に雨漏りや給排水管のトラブル、庭の雑草の繁茂などが進行し、気づいた時には修繕が必要な状態になっている可能性もあります。

親族間のトラブルにつながる可能性がある

親族に空き家の管理を頼んだものの、「しっかり見回りしてくれていない」「修繕が必要なのに報告がなかった」などの不満が生まれ、関係が悪化してしまうケースもあります。特に、空き家の相続に関わる親族が複数いる場合、「誰がどの程度管理するのか」「管理の負担をどう分担するのか」といった点で意見が食い違い、トラブルに発展することがあります。また、空き家の維持管理には、庭の手入れや防犯対策の強化など、場合によっては費用がかかることもあります。しかし、親族の中で「お金を出す人」と「管理を担当する人」が分かれると、負担の偏りが生じて不満が募ることも考えられます。さらに、「管理の手間がかかるなら売却したい」「いや、思い出の家だから残したい」といった意見の対立が生じることもあり、結果的に親族同士の関係が悪くなってしまうケースも少なくありません。

万が一のトラブル時に責任の所在が不明確になる

空き家の管理を親族に任せている場合、万が一トラブルが発生した際に「誰が責任を負うのか」が曖昧になりがちです。例えば、管理を担当している親族が鍵の施錠を忘れ、それが原因で空き巣被害に遭った場合、「誰の責任なのか」を巡って揉める可能性があります。また、庭の樹木が伸びすぎて隣家の敷地に越境してしまったり、強風で飛ばされた屋根の一部が近隣の住宅に損害を与えてしまったりすることもあります。こうしたトラブルが発生すると、誰がどのように対応するべきかを明確に決めていない場合、話し合いが長引いたり、親族同士で責任の押し付け合いになったりすることも考えられます。また、相続登記が済んでいない場合、名義人がすでに亡くなっているために手続きが複雑になり、解決までに時間がかかることもあります。

知識不足で管理の質が低下する

空き家の管理には、定期的な換気や通水、害虫対策などの専門的な知識が求められることがあります。しかし、一般の人がこうした管理のポイントを十分に理解していない場合、見回りをしていても適切な処置ができず、気づかないうちに建物の劣化が進行してしまうことがあります。例えば、水道管は定期的に水を流さないと内部が乾燥し、錆びや詰まりの原因となることがありますが、こうした知識がないと長期間放置され、気づいた時には配管の交換が必要になることも。また、適切な換気が行われないことで、室内の湿気がこもり、カビやシロアリの発生を招く可能性もあります。特に木造住宅では、湿気による劣化が進行しやすく、床が歪んだり柱が腐食したりすることもあります。

空き家管理をプロに依頼するメリット

親族に空き家の管理を頼むことにはさまざまなリスクがある一方で、専門の業者に依頼すれば、安定した管理体制のもとで適切な対応を受けることができます。「そこまで大げさにしなくても」と思うかもしれませんが、空き家の劣化は気づかないうちに進行し、放置すれば修繕費が高額になることもあります。では実際に、プロの管理を利用すると具体的にどのようなメリットがあるのでしょうか。

定期的な管理で空き家の劣化を防げる

空き家の適切な維持管理には、定期的な換気や通水、建物の外部点検、庭の手入れなど、多岐にわたる作業が求められます。専門の業者に依頼すれば、こうした作業を計画的かつ確実に実施してもらえるため、管理が行き届かないことで起こる劣化を最小限に抑えることができます。例えば、湿気がこもりやすい家屋では、適切なタイミングで窓を開け換気を行うことで、カビやシロアリの発生を防ぐことが可能です。また、水道管の錆びや詰まりを防ぐために定期的に通水を行うなど、専門知識を持ったスタッフが必要なメンテナンスを実施するため、素人管理では見落としがちな部分もしっかりとカバーできます。

トラブル発生時の迅速な対応が可能

空き家を管理するうえで最も避けたいのは、何らかのトラブルが発生してもすぐに対応できず、被害が拡大してしまうことです。例えば、強風で屋根の一部が飛ばされてしまったり、空き巣に入られたりといったトラブルが起きた際、親族が対応しようとすると、すぐに現場へ行けなかったり、適切な修理業者を見つけられなかったりすることがあります。プロの管理業者に依頼していれば、定期点検の際に異常を早期発見し、必要に応じて修繕の手配や防犯対策の強化を迅速に行うことができます。万が一の災害時にも、迅速に被害状況を確認し、オーナーに報告したうえで適切な対応を取るため、問題が長期化するリスクを減らせるのが大きなメリットです。

親族間のトラブルを回避できる

親族が管理を担う場合、負担の偏りや責任の所在を巡って意見が対立し、関係が悪化することが少なくありません。しかし、プロに依頼することで「誰が管理するか」といった問題を根本的に解決し、親族間のトラブルを未然に防ぐことができます。例えば、空き家を相続した親族が複数いる場合、「誰が見回りを担当するのか」「管理にかかる費用をどう分担するのか」といった問題が発生しがちですが、業者に任せることで明確な料金設定のもと、平等に管理費を分担することが可能になります。また、管理業者の定期的な報告によって「誰かがちゃんと管理している」という安心感を得られるため、「本当に見回ってくれているのか」といった疑念が生まれにくくなります。これにより、親族間の無用なストレスや不信感を減らし、スムーズな関係を維持することにもつながります。

建物の価値を維持し、将来の選択肢を広げられる

空き家の状態が悪化すると、いざ売却や賃貸を考えた際に修繕費用が大きくかかるだけでなく、買い手や借り手がつきにくくなることがあります。しかし、専門の業者に管理を依頼していれば、定期的なメンテナンスを通じて建物の状態を良好に保つことができ、将来的に売却や活用をする際の選択肢が広がります。特に、現在は空き家の増加が社会問題となっており、自治体による空き家対策が進んでいます。適切な管理が行われていない空き家は「特定空き家」に指定され、固定資産税の優遇措置が解除されるリスクもあるため、適切な管理を行うことが経済的なメリットにもつながります。また、将来的に「リフォームして住む」「賃貸として活用する」「売却する」といった選択肢を考えている場合、建物の管理状態が良いほど、リフォームなどの手直しの手間がなくなりスムーズに進めやすくなります。

こんな人は空き家の管理をプロに依頼するのがオススメ！

ここまでで親族に空き家の管理を依頼するリスク、また逆にプロの空き家の管理を依頼するメリットについて、それぞれ詳しく知っていただくことができたかと思います。しかし「実際にどちらが自分に合っているか」悩まれている方も多いかと思います。実際にやってみないと分からないところもあり、決断に困っているというご相談は、弊社でも多くいただきます。そこでここでは、空き家の管理をプロの業者に依頼した方がいい人についてご紹介をしていきます。管理の依頼先を検討している方は、ぜひ以下の内容も参考にしてみてくださいね。

空き家が遠方にあり、頻繁に見に行けない人

空き家が自宅から遠いと、定期的に足を運ぶことが難しくなります。特に、数百キロ離れた場所にある場合、移動の時間や交通費も負担となり、結局何か問題が起きるまで放置してしまいがちです。また、自然災害の多い地域では、台風や大雪による被害の確認が急務となることがあります。しかし、遠方に住んでいると、被害の有無をすぐに確認できず、対応が遅れてしまうことも。プロの管理なら、定期的な点検はもちろん、災害後の迅速な状況確認や修繕手配も可能なので、遠方の空き家を所有している人にとっては大きな安心材料となります。

空き家の管理に時間を割けない人

仕事や家庭の事情で忙しく、空き家の管理に時間をかけられない人も、プロの管理を活用するのが賢明です。管理作業は意外と手間がかかり、庭木の手入れや室内の換気、雨漏りや水漏れの確認など、細かい作業が必要になります。特に、築年数が経過した家ほど定期的な点検が欠かせません。小さな異変を見落とすと、劣化が進行し、修繕費用が大幅に増えることもあります。「忙しくて見に行けないから、放置している」という状態が続いているなら、早めにプロの管理を依頼し、適切なメンテナンスを行うのが理想的です。

親族とのトラブルを避けたい人

親族に管理を頼んでいると、責任の所在が曖昧になり、意見の食い違いが生じることがあります。「頼んでいたのに、思ったより管理が行き届いていなかった」「管理費の負担について揉めてしまった」など、トラブルが発生すると、家族関係にヒビが入る可能性もあります。プロの管理を利用すれば、こうした問題を回避できます。業者が責任を持って管理するため、誰がどのように管理するかで揉めることがなくなり、親族間のストレスも軽減されます。また、定期報告があることで、家の状況を客観的に把握でき、管理についての不安や不信感もなくなります。

空き家を売却・活用する予定がある人

「いずれ空き家を売却したい」「貸し出しを検討している」と考えている人にとっても、プロの管理は大きなメリットがあります。管理が不十分だと、家の傷みが進み、売却や賃貸の際に大幅な修繕費がかかることになりかねません。例えば、定期的に換気や清掃を行っていないと、カビや害虫が発生し、内覧時の印象が悪くなります。また、外観が荒れた状態では、近隣住民の印象も悪くなり、売却や賃貸がスムーズに進まなくなる可能性も。プロの管理なら、適切なメンテナンスを継続できるため、将来的な売却や活用がしやすくなります。

固定資産税の負担を増やしたくない人

適切に管理されていない空き家は、自治体から「特定空き家」に指定される可能性があり、その場合、固定資産税が大幅に増額されることがあります。特に、屋根の崩壊や外壁のひび割れなどが進んでいる家は、近隣住民への危険性も高まるため、自治体の指導が入ることもあります。プロの管理を依頼すれば、適切な維持管理が行われ、「特定空き家」に指定されるリスクを抑えることができます。定期的な点検とメンテナンスにより、行政指導を受ける前に対策を講じることができるため、余計な税負担を避けることが可能です。