空き家を放置せず貸す方法|メリット・デメリットから費用、手順まで徹底解説

「親から実家を相続したものの、誰も住む予定がない…」「毎年、固定資産税や管理費をただ払い続けている…」今、活用されていない空き家が、維持費だけがかさむ「負」動産になってしまっていることに、頭を悩ませてはいませんか?しかし、その空き家は「貸す」という選択をするだけで、あなたに安定した収益をもたらす「富」動産に生まれ変わる可能性を秘めています。この記事では、空き家問題の専門家の視点から、管理に困った空き家を賃貸物件として活用し、価値ある資産へと転換させるための具体的な方法を、手順から費用、リスク対策まで解説します。

空き家を賃貸に出すという選択肢を考える前に、まずは「なぜそのまま放置してはいけないのか」を再確認する必要があります。漠然とした不安を具体的なリスクとして認識し、同時に賃貸活用がもたらすメリットを理解することで、あなたが取るべき最善の道が見えてきます。

空き家を放置する最大のリスクは、2015年に施行された「空き家対策特別措置法」にあります。管理が不十分で倒壊の恐れや景観を著しく損なう状態だと行政に判断された場合、その家は「特定空き家」に指定されてしまいます。

特定空き家に指定され、自治体からの改善勧告にも従わない場合、土地の固定資産税を大幅に軽減する「住宅用地の特例」が適用されなくなります。これにより、税額はこれまでの最大6倍にまで跳ね上がる可能性があるのです。年間10万円だった固定資産税が、突然60万円になるという事態もあり得るのです。

空き家を賃貸に出す最大のメリットは、言うまでもなく安定した家賃収入が得られることです。これまで毎年、固定資産税や火災保険料、修繕費といった支出ばかりを生んでいた「負」動産が、入居者さえ見つかれば、毎月決まった収入を生み出す収益源、つまり「富」動産へと変わります。このキャッシュフローは、あなたの家計を助けるだけでなく、将来の資産形成の礎にもなり得ます。

家は、人が住まなくなることで驚くべきスピードで劣化が進みます。定期的な換気が行われないことによる湿気やカビの発生、水道管の錆び、建材の傷みなど、放置は百害あって一利なしです。

しかし賃貸に出せば、入居者が日常的に家を使用し、換気や通水を行ってくれます。また、管理会社に委託すれば定期的な巡回やメンテナンスも行われるため、建物のコンディションを良好に保ち、資産価値の維持につながるのです。

賃貸として活用している期間も、その家の所有権はあなたのものです。将来、ライフスタイルの変化に応じて「やはり自分たちが住む」「子ども世帯に譲る」といった自己利用の道を選ぶことも可能です。

また、売却を考えた際にも、単なる古い空き家としてではなく、現在収益を生んでいる「投資用不動産」として評価されるため、買い手が見つかりやすく、より有利な条件で売却できる可能性が高まります。

賃貸経営にかかった費用は、経費として計上できます。固定資産税や損害保険料、管理委託費、修繕費、さらには減価償却費などを不動産所得から差し引くことが可能です。もし不動産所得が赤字になった場合は、給与所得など他の所得と損益通算することで、所得税や住民税の還付を受けられる場合があり、結果として節税につながるケースもあります。

放置された空き家は、景観の悪化や治安への不安など、地域にとってマイナスの存在になりがちです。しかし、あなたがその家を誰かに貸し、新たな住人が生まれることで、地域に活気が戻ります。特に過疎化が進む地域においては、移住者を呼び込むきっかけにもなり得ます。

大切な資産を有効活用することが、間接的に社会貢献にもつながるという点は、金銭的なメリットとはまた違った大きな価値と言えるでしょう。

もちろん、空き家の賃貸活用は良いことばかりではありません。事前にデメリットやリスクを正しく理解し、その対策を講じておくことが、後悔しない賃貸経営の第一歩です。ここでは、起こりうる問題とその解決策を具体的に解説します。

賃貸経営で最も精神的な負担となりうるのが、入居者との人間関係のトラブルです。代表的なものに、家賃の滞納や、隣人との騒音問題などが挙げられます。これらの問題は、個人で対応しようとすると多大な労力と時間を要します。

対策としては、信頼できる賃貸管理会社に管理を委託することが最も有効です。入居者募集時の厳格な審査から、滞納時の督促、クレームの一次対応まで、プロに任せることで、あなたは直接入居者とやり取りするストレスから解放されます。

家賃収入がそのまま全て利益になるわけではありません。賃貸経営には継続的なコストが発生します。不動産会社に支払う管理委託費(一般的に家賃の5%前後)、経年劣化や突発的な故障に対応するための修繕費、そして固定資産税や火災保険料などです。特に給湯器やエアコンといった設備の故障は、十数万円単位の急な出費につながることもあります。

対策として、家賃収入の一部をあらかじめ修繕積立金として確保しておくなど、計画的な資金管理が不可欠です。

一度、普通借家契約で入居者と契約を結ぶと、貸主側の都合で一方的に契約を解除し、立ち退きを要求することは法律上非常に困難です。将来的に自分や親族が住む可能性がある場合は、あらかじめ契約期間を定めておく「定期借家契約」を選択するなど、契約形態を慎重に検討する必要があります。

貸し出す前に、その家を将来どうしたいのか、長期的な視点で計画を立てておくことが重要です。

家賃収入は不動産所得として、毎年確定申告を行う義務が生じます。日々の収支を記録し、領収書を保管し、年に一度申告書を作成して税務署に提出しなければなりません。会計の知識がない方にとっては、この作業が大きな負担に感じられるかもしれません。

対策としては、税理士に依頼するという選択肢があります。費用はかかりますが、正確な申告を任せられるだけでなく、節税に関する有益なアドバイスも期待できます。

築年数が古い家の場合、将来的に外壁の塗り替えや屋根の葺き替え、構造部分の補強といった大規模な修繕が必要になる可能性があります。これらの工事には数百万円単位の費用がかかることも珍しくありません。

対策としては、賃貸に出す前の段階で、専門家による建物診断(ホームインスペクション)を受け、建物の状態を正確に把握しておくことです。将来予測される修繕箇所と、そのおおよその費用を事前に知ることで、長期的な修繕計画を立てることができます。

最も直接的な経済リスクが、借り手が見つからず、家賃収入がゼロのままコストだけが発生し続ける「空室リスク」です。立地条件や建物の状態、家賃設定などが周辺の需要と合っていなければ、このリスクは高まります。

対策は、賃貸に出す前のマーケティングが全てです。地域の賃貸需要に詳しい不動産会社に相談し、ターゲットとなる入居者層を明確にした上で、適切な家賃設定や、ターゲットに響くリフォームを行うことが成功のカギとなります。

最初の一歩は、専門家である不動産会社に相談することです。ここで重要なのは、売買仲介がメインの会社ではなく、「賃貸管理」に豊富な実績とノウハウを持つ会社を選ぶことです。空き家の所在地や状態を伝え、そもそも賃貸の需要が見込めるのか、貸すとしたらどのような準備が必要か、といった基本的なアドバイスを受けましょう。複数の会社に話を聞いて、最も信頼できるパートナーを探すことが大切です。

不動産会社に物件を実際に確認してもらい、どのくらいの家賃で貸し出せるのか査定を依頼します。査定額は、周辺の類似物件の家賃相場や、建物の築年数、間取り、設備、駅からの距離といった様々な要因を総合的に判断して算出されます。この査定額を基に、空室リスクを避けつつ収益を最大化できる絶妙な募集賃料を、不動産会社と相談しながら決定します。

多くの空き家は、そのままの状態で貸し出すのが難しい場合がほとんどです。壁紙の張り替えやハウスクリーニングといった内装の軽微な手直しから、キッチンや浴室といった水回りの設備交換、場合によっては間取りの変更まで、必要なリフォーム・修繕の範囲を確定させます。不動産会社やリフォーム会社から見積もりを取り、費用対効果を十分に検討した上で工事を発注します。

賃貸経営を任せる不動産会社が決まったら、正式に契約を結びます。入居者募集から家賃の集金、クレーム対応、退去時の手続きまで、一連の管理業務を委託する「管理委託契約」と、入居者を探すための広告活動を依頼する「媒介契約」を締結するのが一般的です。契約内容、特に管理委託料の範囲や更新時の条件などを十分に確認し、納得した上で契約しましょう。

契約を結んだ不動産会社が、自社のウェブサイトや不動産ポータルサイトへ物件情報を掲載し、入居者募集を開始します。問い合わせがあれば、不動産会社の担当者が希望者を物件へ案内し、内見の対応を行います。この募集期間が、あなたの物件が市場でどの程度魅力的かを測る試金石となります。

入居の申し込みが入ったら、不動産会社が申込者の勤務先や年収、保証人の情報などを基に、家賃の支払い能力や入居者としてふさわしい人物かどうかの審査を行います。この審査を通過した申込者と、貸主であるあなたが「賃貸借契約」を締結します。契約内容の説明や書類の取り交わしは、すべて不動産会社が間に入って進めてくれるので安心です。

契約で定められた入居日に、入居者に鍵を渡して物件を引き渡します。これをもって、あなたの賃貸経営が本格的にスタートします。以降の家賃の集金や入居者からの連絡対応は、管理委託契約に基づき、すべて不動産会社が行います。あなたは、毎月送られてくる収支報告書を確認し、家賃収入が振り込まれるのを待つことになります。

一口に「空き家を貸す」と言っても、その方法は一つではありません。あなたの空き家の特性や、あなた自身の考え方によって、最適な貸し方は異なります。ここでは代表的な賃貸の選択肢をいくつかご紹介します。

これは最も一般的な賃貸借契約の形態です。契約期間は2年とすることが多いですが、入居者が希望する限り、貸主側からの正当な事由がない限り契約は更新され続けます。貸主にとっては安定した長期入居が期待できる一方、一度貸すと立ち退きを要求するのが難しいという側面も持ち合わせています。

「将来は自分たちが住みたい」「数年後には売却を考えている」といった場合に有効なのが、この定期借家契約です。あらかじめ定めた契約期間が満了すると、更新されることなく契約が終了します。これにより、貸主は計画的に物件を自己利用したり、売却したりすることが可能になります。ただし、普通借家契約に比べて借り手が見つかりにくい傾向があり、家賃も相場よりやや低めに設定する必要があります。

サブリースとは、不動産会社があなたの空き家を丸ごと借り上げ、それを入居者に転貸する方式です。あなたへの家賃は不動産会社から支払われるため、空室が発生しても一定の収入が保証されるのが最大のメリットです。しかし、不動産会社が受け取る手数料が一般的な管理委託よりも高額になるほか、数年ごとに家賃の見直しが行われ、保証される家賃が下落するリスクがある点には注意が必要です。

建物が古く、大規模なリフォーム費用をかけられない場合に検討したいのが「DIY型賃貸」です。これは、入居者が自分の好みで自由に改装(DIY)できることを条件に、相場より安い家賃で貸し出す方法です。貸主は初期投資を大幅に抑えられ、入居者は自分らしい空間を創り出せるという双方にメリットがあります。クリエイティブな層や、古民家志向の入居者に響く可能性を秘めています。

賃貸経営を始めるにあたり、最も気になるのは「結局、いくらかかって、いくら儲かるのか」というお金の話でしょう。ここでは、具体的な費用項目と、簡単な収益モデルを解説します。

賃貸を開始するまでには、まとまった初期費用が必要となります。最も大きな割合を占めるのがリフォーム費用で、内装の状態や設備の古さによっては50万円から300万円以上かかることもあります。その他、畳の表替えや全体の清掃を行うハウスクリーニング費用が5万円から15万円、不動産会社に支払う広告料(募集賃料の1ヶ月分が目安)などが見込まれます。

賃貸経営が始まってからも、継続的に費用が発生します。不動産会社に支払う管理委託費が家賃の5%程度、火災や自然災害に備える損害保険料が年間数万円、そして毎年課税される固定資産税・都市計画税です。これらに加え、数年に一度のエアコンの交換や、給湯器の修理といった突発的な修繕費のために、家賃収入の一部を計画的に積み立てておく必要があります。

仮に、リフォームを経て家賃8万円で貸し出せたとシミュレーションしてみましょう。年間の家賃収入は96万円です。ここから、管理委託費(96万円の5%)が4.8万円、固定資産税が仮に10万円、保険料や修繕積立金として10万円を見込むと、年間の支出合計は24.8万円となります。したがって、年間の手取り額は、96万円から24.8万円を差し引いた約71.2万円と試算できます。これまでマイナスだった収支が、大きくプラスに転換することがお分かりいただけるでしょう。

空き家賃貸の成功は、いかに信頼できる不動産会社をパートナーに選ぶかにかかっていると言っても過言ではありません。数多くの会社の中から、あなたの資産を安心して任せられる一社を見極めるためのポイントを解説します。

不動産会社には、売買仲介、賃貸仲介、賃貸管理など、それぞれ得意な分野があります。あなたが選ぶべきは、入居者募集から日々の管理、退去手続きまでを一貫して手がける「賃貸管理」の実績が豊富な会社です。その地域の賃貸需要や家賃相場を熟知し、空室を埋めるための具体的な提案力を持っているかどうかが重要な判断基準となります。

最終的にあなたと直接やり取りをするのは、会社の担当者です。あなたの疑問や不安に対して、親身になって耳を傾け、専門家として的確なアドバイスをくれるか。また、電話やメールへの返信が迅速で、報告・連絡・相談が徹底されているかも、信頼関係を築く上で非常に重要です。複数の会社の担当者と実際に会って話し、その人柄や仕事への姿勢を見極めましょう。

パートナー選びで失敗しないためには、必ず3社以上の不動産会社に声をかけ、それぞれから賃料査定と管理内容の提案をもらう「相見積もり」が不可欠です。査定額の高さだけで判断するのではなく、なぜその家賃設定なのかという根拠、どのような入居者層をターゲットにするのかという戦略、そして管理委託料に含まれるサービス内容を詳細に比較検討し、総合的に最も納得感のある会社を選びましょう。

この記事では、管理に困る空き家を、賃貸物件として活用するための具体的な道筋を解説してきました。空き家の放置は、維持費の流出だけでなく、税金の高騰や損害賠償といった計り知れないリスクを伴います。しかし、「貸す」という一歩を踏み出すことで、そのリスクを回避できるだけでなく、大切な家を維持しながら安定した収益を得るという、新たな価値を創造することができます。

もちろん、そこには様々なリスクや手間が伴いますが、それらのほとんどは、信頼できるプロの不動産会社をパートナーに選ぶことで解決・軽減することが可能です。

この記事を読んで、「うちの家でも、何かできるかもしれない」と少しでも感じていただけたなら、ぜひ最初の一歩を踏み出してみてください。それは、近所の賃貸管理に強そうな不動産会社に、一本の電話をかけてみることかもしれません。

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